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白梅学園大学 |
教授
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無藤隆氏 |
MR.TAKASHI MUTO |
かけっこで勝つ子どもとトランプで勝つ
子どもは違っている方が良い
―― 何でも禁止してしまうのは良くないということでしょうか?
やはり攻撃性の処理の仕方というのも幼児期に学ぶべきではないでしょうか。カッとなった時に殴ってしまうのではなくて、カッとなっても気持ちを抑えられるとか、本気で叩くのではなく叩くフリができるとか、そういったことを学習する機会はあった方がいいですね。特に最近の子ども達はケンカの仕方を知らないという話もありますが、加減が分からずに本気を出してしまったり、相手を追い詰めすぎたりすることがあるんですね。
―― 人と競うということも発達においては大事なことですか?
競うといっても色々あって、ありとあらゆることで競っているというのは心身ともにキツイので、もっと限定的な方が良いというか、遊びごとに競ったり競わなかったりするのが良いですね。つまり、かけっこで勝つ子どもと、トランプで勝つ子どもが違う方が良いんです。
受験がなぜ厳しいかというと全面競争になって勝ち組と負け組ができるからなんです。だからこっちで競って負けても、別のところでまた競うことができた方が良いんです。
それからもう1つ大事なのは、再チャレンジができるということです。受験のように長い期間頑張ってきて、ここで失敗したらやり直しがきかないというのではなく、トランプのように今日は負けたけど明日は勝ってみせるというようなもの、そういった短期決戦で決まる勝負が子ども達は比較的好きなんです。
スキルだけで勝負がついてしまうのは年齢の低い子ども達はあまり好きじゃなくて、偶然が入り込む余地があって、勝ったり負けたりするものの方が面白いんですね。偶然が入り込んでいるとはあまり思っていないので、だから勝負のたびに「勝った!」「負けた!」と一喜一憂します。
――男の子の遊びはミニカーとかRCとかヒーローごっことか幅広くありますが、一方で男の子と比較すると、女の子の遊びの種類は少ないような気がします。
そうですね、でも最近は男の子の遊びをする女の子がかなり増えていて、カードを集めている子も結構いますし、女の子向けのソフトが充実してきたことでテレビゲームに熱中している子もいますし、性差は随分と縮まっていると思います。
女の子もアクセサリーとかを集めたりしますが、男の子は世の中にある全種類を揃えたいと考えるのに対して、女の子は世の中に 何種類あるのかという発想はないし、きれいなものや可愛いものしか欲しくない。そこが男女の違いかもしれないですね。
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